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小説論 〜良い作品を書くには〜



はじめに  小説というのは実話・非実話を問わず、一般的に物語と呼ばれるものを指す。作者が自由な方法とスタイルで、不特定多数の読者を対象に人間や社会を描く様式を取る。小説が確立されたものは18Cからであり、それ以前のものは一般的には小説とは呼ばれるものではない。
 小説という言葉を調べると色々な解釈が出てくるが、私が小説というものを定義するのならば『自分を伝える』方法とします。自分が『何を』伝えるかはともかく、書きたいという自らの思いが初めになければ生まれないものなのですから。
 つまり良い小説というものは『自らの思いを素直に表したもの』となるのではないでしょうか?
 勿論それだけでは足りず、表現技巧、ストーリーの組み合わせなどが必要になってくるでしょうが、おそらくそれはあとから加わるものでしょう。
 近年では多くの本が出版されますが、相対的な数で言うと昔(明治時代〜戦争程 次からは戦前と表記)よりそういった意味でのいい作品は少なくなっている気がします。
 戦前では本というのは自分の全てであり、命をかけるほどのものでもありました。太宰治などがその代表例です。戦前では文学はお金をもうけるための『商品』ではなかったのです(多少はいたのかもしれませんが)。
 しかし、今はどうでしょうか? 文学と資本主義が結びつき、『売るため(儲けるため)の本』が蔓延しています。売るための表現技法、読者が好みそうな展開を書くことが半ば義務付けられているようなものです。著者が自分の気持ちに相反するものを書いたとしても、いい作品は生まれないでしょう。

 さてさて、長々と前置きをしてきましたが、ここからこの本題に入ろうと思います。
 上で色々言いましたが、資本主義と文学が結びつくのは時代の流れであり、仕様がないものだといいざるを得ません。
 その現状に多少の不満は感じるものの、現在でも名作と呼ばれるものがあることもまた否めません。
 この文章は小説を書く、もしくは書きたいと思う人に向けられたものですが、大前提として『自分を伝える、表現したい』という方であることが条件です。
 そういった気持ちに関しては自身の問題でしょうし、それをどうこうする道を示すのは不可能だと思いますから。
 ここで示すのは気持ち以外の小説の中身、つまりはストーリーの展開、構成のしかたなどです。表現技法については正直私も未熟であるゆえにある程度参考になれば、という感じで見ていただきたいです。
 この文章は私ひとりの独善的な意見になっては困るので、私が所属する文学部のメンバーの知恵を借りて総合的な意見を載せています。(余談ですが、私が所属する文学部は男二人、女二人構成で、一ヶ月に合わせて150冊ほど読んでいます)
 多少なりとも私のこの文章が役に立てば幸いです。



小説全般に言えること
・登場したことのない人物、モノを突然登場させることは厳禁
これはストーリーの構成を読む読者にとっては突然現れたファクターであり、物語を崩す原因になりかねません。それが重要な登場人物・モノであればあるほどやってはいけません。
・誤字などは気をつける
何を当たり前なことを、というかもしれないが、漢字ひとつで読者の受ける印象はがらりとかわる。これはある意味良い作品を作るための+要素にも成りえる。そういった字を挙げてみると、『身体』と『体』、『切る』と『斬る』、『思い』と『想い』などです。それぞれ同じ読みで近い意味あっても、受ける印象は全然違うでしょう。
・状況の説明、風景の描写
三人称でよく表されるこういったことはストーリーには影響を与えることが少ない場合があるが、前者は読者への理解を早める効果があり、後者は場面に色を持たせ、空間を作り上げる。また心理描写の手法としても用いることが出来る。 たとえば、『風が凪ぐ』という表現のとき『風が優しく凪いだ』とすればやさしい雰囲気を出し、『風が優しく彼の頬を凪いだ』とすれば彼の心情は『落ち着き』『安堵』『安らぎ』などを表すこととなる。
・何はともあれストーリーの構成
物語の構成、つまりストーリーは小説を構成する上で最も大切なことだと思う。いくら表現技法に秀でていたとしても、ストーリー構成の段階でミスがあったり、未熟なものであったりしたのなら作品の魅力は半減される。作品を書く段階でちゃんとプロットを練っておくことが必要になるでしょう。
・読者に理解しやすい表現を使う
自分だけが理解できる言葉を使ってもしょうがないです。難しい言葉を使って表現しようとするよりは、ちゃんと一般に通る言い方のほうがいいかと。ただ、重厚な作品を書く場合はこの例に漏れます。



ジャンル別


ファンタジー 私が最も好きなジャンルであるのがこれ。最もファンタジーといっても世界観を一から構成するものと、既存の世界、つまりは地球での世界の枠組みだけを変えた作品の二つに大別することが出来ます。なので二つについて説明しようと思います。 まず共通して言えることですが、この二つは世界観の説明が何より必要です。いきなり知らない単語が連続して羅列されては理解が追いつかないですから、全部とは言いませんが多少なりとも説明が必要になるでしょう。 前者は世界観の説明が後者よりもはるかに重要です。一切自分たちの世界との共通点が無いのですから、そこをいかに上手く説明するか、がポイントになります。 後者はどちらかというと世界観より自分たちの周りを取り巻く状況の説明が必要でしょう。世界観は地球という共通項があるため地名などが説明なしに出せるので、ある意味こちらのほうが作るのは楽といえるかもしれませんね。 ファンタジーは善悪がはっきりと分かれる作品が多いようです。なので、そういった敵の描写や、種族、魔法などといったものはきちんと体系付けるべきかと。 ファンタジー作品を作る上で参考にすべき作品は、世界観なら『骨牌使いの鏡』『風の大陸』の二つ。魔法といったものを上手く動かす作品ならば『魔術師オーフェン』をお勧めします。



ミステリー 有名なC・ドイルのシャーロックホームズに代表されるジャンルです。ミステリーは推理モノ、怪奇モノも含み、その本質はいかにして相手を惑わすか、ということにあります。 ミステリーというジャンルにおける目標とは、『読者を裏切る』こと。 そのために必要なのは、思わせぶりな行動・発言と、縦横無尽に張り巡らした作者の仕掛けるトリックです。 仕掛けるトリックとして最も望ましいのは、読者が気づかないような、それでいて記憶に残るような表現。しかし、実質これを書くのは非常に難しいため、どちらかが切り捨てられる場合が多いようです。どちらかというと、読者が気づかないことを優先すべきでしょう。何せ裏切るのが目的なのですから。 また、トリックは意味の無いものであってはいけません。思わせぶりな発言・行動、描写にも全てなんらかの意味をもたせ、本編に薄くかかわるような行動とするのが望ましいです。 怪奇ジャンルのほうでは怖い、と思わせるのが目的ですので、背筋がひやっとするようなものを多用するべきで、また登場人物はギャップをあおるためにわざと明るくするか、極端に暗いという設定がいいかもしれません。 ミステリーで推理モノの参考にして欲しいのは『GOSICK』。 怪奇系なら『Missing』あたりを読むべきだと思います。



セカイ系 新世紀エヴァンゲリオンの登場によって確立された比較的新しいジャンル。 主人公とヒロイン、その周りのみが描かれるこのジャンルでは、主人公の心の動きを以下にして描くか、ということに全てがかかっています。世界観の構築なんていりません。それは読者にゆだねて、主人公がどう思い、どう行動するかだけを考えてください。 正直このジャンルは成立してから短いので、どのように描くべきかというのは難しいです。ですが、この場合の手法として私が確実にお勧めできるのは『文字をカタカナで表現』することです。例えば『僕の心が壊れそう』という表現のとき、『ボクのココロが』や、『僕のココロが』などとすればそれだけで見栄えは違うし、受ける感じも違ってくる。 勿論無差別にカタカナにすればいいわけではなく、そういったことに向いている文字と向いていない文字があるのだが、それは自分で色々と研究してもらいたい。 セカイ系で参考になりそうな本は『ルカ-楽園の囚われ人-』『閉じられた世界』などだろう。なかでも一番にお勧めするのは『殺×愛』だ。周りの雰囲気をちゃんと描写しつつも、クラスメイトの一部だけが重点的に描写され、かといってセカイ系に必要な要素のひとつである『世界の終わり』という要素も入っている。



恋愛モノ えと、書くのがはずかしいので非常に逃げたいのですが、書くことにします。 恋愛小説は多くのジャンルに分けることが出来、純愛小説、ジュブナイル小説、といったものが代表的だろうか。 これはセカイ系と共通し、単純に言うとキミとボクの二人の間が一番重要といえます。ただ、決定的に違うのは周りの描写が絶対に必要だということです。 私は恋愛小説を書くのが好きなので(読むのはもっと好きですが)色々試してますが、かなりの作品で使われている王道的な手段として『ヒロインか主人公が不幸な境遇にある』ことがあげられます。また、展開としては2パターンがあり、『出会う→惹かれあう→何か仲違いさせるような出来事(もしくは上手くいかなくなる出来事)→立ち直る→結ばれる』というパターンと、『初めから付き合っている→上手くいかない→何かきっかけ→結ばれる』というパターンです。 因みに美しく見せる手段としては、最も効果的なのは、言うのは躊躇われますが『人の死』です。人は死ぬことによって存在が昇華され、永遠になれると考える人は少なくありません。だからといって死をたやすく扱うのはいかに作り物といえどもなんなので、あまり多用して欲しくないと思うのが本心です。 あ、あとこれは個人的な見解が入りますが、恋愛小説においては『不思議な力』は無いほうが面白いですね。そういったものは恋愛小説よりは空想小説などに近いと思うので。 最後に参考になりそうな本ですが、ダントツで『天使の卵』です。私がこの本に出会ったのは中学一年2001年のときでした。今までこれ以上に感動したものは無いので、恋愛小説に興味が無くともぜひ読んでほしい作品です。



伝奇小説 伝記じゃありません、伝奇です。とわけのわからない断りを入れたところで 伝奇は怪奇小説と通じるところがあります。もともとが中国の聊斎志異などが元になって生まれたジャンルのためです。 現在ではライトノベルで最も使われるジャンルの一つで、伝奇の規定が曖昧なため殆どの作品がそれに属すと思われます。 超常現象も当然OKですが、それは魔法という形では現れることが少ないようです。 というより書きながら思ったのですが、正直ジャンルの範囲が広すぎて何を書けばいいのか困ってます。 これに関してはジャンルの幅が広いためのある方法が必要となります。それは『既刊の作品とかぶらないような斬新な設定が必要となる』ことだと言えます。最近では突飛なものでも受け入れられる傾向があるようなので、ある程度は世界観などの設定を無視しても大丈夫なようです。 あとは個人の力量次第ですね。というかこの程度しかアドバイスできず、すみません。 参考になる作品は、多すぎてどうしようもないので作家の名前だけを記しておきます。 菊地秀行さんなどは伝奇ジャンルの代表選手といえると思うので、読んでみましょう。



SF小説 SFとは(SienceFiction)であり、空想科学小説というのがこのジャンルに当たります。 このジャンルでは魔法などが出てこない代わりに、魔法と区別がつかないほど発達した科学技術が代役を務めます。こういった作品に必要なのはマッドサイエンティストであったりすることが多いです。この小説においてよく出てくるのは自立型のロボットです。人間と同じ感覚を持つので、殆ど人間ですが、時たま見せる違いが人間とロボットの違い、というような感じで出てきます。他には宇宙船、宇宙人、レーザーなどが使えますね。 このジャンルにおいて既存の知識は役に立ちません。頭の中を洗い流して世界観を構築することが必要になります。そういった点ではファンタジーと似ているかもしれませんが、機械のつくりなどの説明に費やせばいいので少し違うと思います。 ロボットを出す場合は『ロボット三原則』をしっかりと配置するのが望ましいですね。アイザック=アシモフの『Iロボット』を読むとよくわかります。 自分の作り出した世界、そこにいかに読者を溶け込ませるかが勝負の分野です。 参考になる本は『未来のイヴ』『Iロボット』などです。



最後に おおまかにわけると分野はこの程度でしょうか? 長すぎず、短くならないように書いてみたのですが、いかがだったでしょう? 少しでも参考になれば幸いです。 参考になるような本はここに紹介しているもの以外にはwikipediaを参考にするといいかもしれません。 特にSFの歴史は長く、ジャンルも複雑なので一読しておくほうが吉でしょう。 以上、お付き合い頂き、誠に有り難う御座いました。