作品名:しにがみのバラッド



作品概要  死神なのに人のような感情を持ち、白く、天子のような印象を受ける少女・モモと、その使い魔であるダニエルが主人公のお話。
 モモは自分が何者かをわからず、それを普段は気に留めていない。だが、同じ死神であり、モモと対極いるような存在の少女・アンと出会うことによって自分の存在に疑問を持つ。
 使い魔であるダニエルは、最初モモのことを変な奴、としてしか見ていなかったが、現在では保護者なような役割を本人はしているつもりになっている。
 世界観はいたって普通の世界に死神というイレギュラー要素が含まれているのみ。死神は普通生きている者とかかわりを持たないのだが、モモは人や猫の死などに関わり、一緒に泣き、感情を共有していく。



感想・批評  作品の形式としてはショートショートといった感じ。随所に詩的な表現が見られ、それがテンポよく読者を作品の世界へいざなってくれる。この作品に関しては改行が多いということは問題にならず、詩的な表現の一種だといえる。
 主人公モモは少しずつ人とかかわりながら感情を共有していくことによって、本来の自分を見つめている、という構造なのだと思われる。最終的にはその人の『想い』を知って自分の存在も知ることになると思っている。積み重ね、っていう日常系の小説で有効な手段ですね。
 ショートショートの内容は、9割以上が少年少女の恋愛や、若さゆえの葛藤などを描いたもので、残りはある程度年齢が高かったり、猫だったり、という感じです。八巻から初めて前後半の形式を取りました。いくつかの話では登場人物がリンクしていますが、ひとつの読み切りとしては何も問題なく読めます。時々モモの存在について書かれる話しが出てきますが、ここだけはショートショートとしてはちょっと辛いです。巻を追って読みましょう。
 最後に個人的な見解ですが、七草さんの暖かいイラストはハセガワケイスケさんのこの作品と非常によくマッチしていると思います。電撃の中ではトップレベルに好きな作品です。